オリジナルR26 永い眠りから遂に復活いたしました。
BMWらしからぬスタイルが魅力です。
無理に「新車風」にするよりジャンクの味で走るのもおしゃれかと・・。
最近「レトロ風」まがい物が流行っている中、本物レトロ、究極の個性の塊をご覧ください。
タンクバッチがなければ何処のバイクかわかりません。
よみがえったR26
1987年、本場ドイツから個人輸入され、いままで殆ど手つかずで放置されていました。このたびR50を手に入れたのをきっかけに、こいつを自分で再生してみようと決心しました。他にR26を見た事がない六宝にとって、試行錯誤の連続でした。
初期状態は、素人にしてみればはっきりスクラップでした。ゴムパッキン類が固くなっているのは当然ですが、フレームの随所に腐食が出ていました。リアフェンダーのヒンジとその付近は無理にこじた様で、ぼろぼろ。タンクに箱が付いているのですが、フタのヒンジがありません。エアクリーナーの箱を留めるステーが折れてます。エンジンやステップのボルトは外観こそ綺麗でしたが、はずすと赤サビでいっぱい。幾つか錆付いたネジをグラインダーで削り落としました。折れて無くなった部分を鉄板で作成し溶接しました。所々、規格外の部品で補修してあったり・・。あ〜安い買い物と思ったのがここに来るんだな(;_;)。ただ、エンジンは意外なほど良好で、基本的なメンテで一応復活しました。オイルにじみが1カ所ありますが、あまりひどくないので放置します。
とりあえず外観はこのまま存続させる事にしました。はずせないボルトがまだ数本あったりオリジナルでない部品で補修はしてありますが、機能的には問題ないので不都合が出た時まで放っておきます。個人で乗るんだ、この程度で許してやらぁ。・・・お金をかければいくらでも綺麗になるのがこのバイクのすごい所ですが、際限が無くなる様で怖いのです。
大阪の街でBMW単気筒の本物ジャンクを見かけたなら、多分六宝です。
スクラップからの再生に初めてチャレンジした六宝の感想
この時代のバイクの再生は、どんなグレードであっても業者に依頼すれば同程度の費用がかかります。250tだから安くつくという事はありません。もしこういうバイクが途方もない値段で売りに出されていたとしても、恐らくその程度の出費をしているのであって、安いものは別にそれだけの手をかける必要があると覚悟して下さい。基本的にこの時代のものには中古という価値観がありませんので手をかけた分だけ加算されるものなのです。部品代はそこそこですが、かなりの技術が必要で、手間賃を加算すると再生は新車よりはるかに高く付くのです。そんな理由から、どうしてもR26よりハイグレードなR27、究極のR69Sなんかへ人気がシフトするのは仕方のない事でしょうね。バルブカバーはボルト1本で止まっています。しかもカバーが2分割です。タンクを降ろさないでもエンジンメンテができる(らしい)とてもよく考えられた構造なのです。 ちなみに六宝はタンクを付けたままではずせませんでした。 |
R26のキャブはガスをフロートの下部から補給する構造。 OHには針金、耐水ペーパー、それにコンパウンド(ノズルを磨く)が有効でした。最後にバスコークでシーリング(R50のメンテ参照)しますと新品同様になるのです。 |
長い期間かかったのに再生中の写真が殆どありません |
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後日談 先日タンクを外した時、R50のヘッド用ボルトを付けてみました。 六角部分がちゃんと上部に出るじゃありませんか。 これでタンクを付けたまま普通のスパナで外せます。 1年以上も並べて置いていたのに気付かなかったなんて・・・・。 六宝って「あほ」。 |
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直リン→R26メンテ記録
R26の走行観
軽快な排気音、軽快な走りっぷり(うそ!絶対うそ!)、そして軽快な?振動。市内走行でよく使う60q/hあたりからがすごい!。バッテリー液が泡立つぐらいに震えています。昔のハーレーは走行ごとに何本かビスを無くすと聞いて笑った事がありますが今なら納得します。固くてはずせないネジの意味もわかる様な気がします。ただ、どのスピードでも手に来る振動が少ないのは、ハンドルバーがラバーマウントになっているからです。R50でもリジットなのに・・・。
同年代のR50 のシリンダーを片方、そのまま載せた様な外観ですが、実は全くの別物です。バルブタイミングも違うようですし特に圧縮比が上げてあります。オリジナルマフラーなのに(R50と比較して)ライブな排気音です。
キャブレターの構造上アイドリングは安定しませんが、でかいフライホイールのおかげで360rpm程度でも止まる事はありません。1秒で3回しか爆発音がしないんですよ。これだけ遅いとギアが入らなくなりますので、実用上は500rpmあたりでフラフラしているのが適当でしょう。
単気筒4速は、普通につないでいくと原付バイクの様な加速感覚をします。トップまでいってメーターを見ると、まだ40q/h程度だったりして・・・車体がうなるぐらいまで引っ張ってからつないでいくと良いようです。音と振動で結構ぶん回している感じがしますが、そのあたりで3000rpm程度しかまわっていません。また60q/h以上での走行は強烈な振動の攻撃を受けます。15馬力は今の交通事情について行くには力不足です。頑張れば普通の流れについては行けますが、神経と体力をひたすら消耗する「自己バトル」状態になります。
走行観に関してずいぶんけなしてしまいました。しかし頑張らないで40q/h〜60q/hあたりでのんびり走行すると、これが結構快適なのです。細身の車体は車重の割には軽快な取り回しです。アールズフォークはブレーキ時の沈み込みがありません。OHV単気筒にシャフトドライブのサウンドは明らかに他とは違います。なんと言ってもバイク好きは必ず振り返ります「ホンダ?ヤマハ?え、BMW!!」。現在の交通事情を頭っから否定し、1958年当時の道を想像して走れば、きっとシルクハットの紳士やゴスロリ淑女(別世界)が手を振る事でしょう。やっぱり今時のバイクじゃない。
燃費は結構良さそうです。車検が無いので維持費は抜群に少なくて済みます。・・・乗りにくいが乗って楽しい、中型免許で乗れる実用車、これが BMW
R26 Since1958 なのです。
追 伸
先般高速道路を走行しました。あれほど悩まされた60q/h前後の振動は、80q/hあたりで消えてしまいます。ごく自然に流れに乗り、追い越しもできました。乗り慣れるほど解る、恐るべきビンテージバイクです。
この・・らしくない後ろ姿が魅力なのよ
R26というバイクについて
1956年から1960年までの間、R25/3(生産台数約48000台)の後継車として生産された単気筒モデルで、アールズフォークを装備しました。よく走り、しかも非常にタフ(当時の評判)なので、延べ3万台以上生産されたベストセラーカーです。アメリカやヨーロッパ各地に輸出されていましたので、今でも探せばこのぐらいの程度のモノはいくらでもあるはずです・・・が、日本では今ひとつ人気がないせいか現在動いている所を見た人は少ないでしょう。
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